バレエ作品


眠れる森の美女

 

跡継ぎのお姫さまに恵まれたフロレスタン王は、姫の健やかな成長を見守ってもらおうと、国中の妖精を洗礼式に招待しました。そしてお姫さまはオーロラ姫と名づけられて、お祝いに妖精たちから様々な美徳を贈られました。しかし式典長のミスで妖精カラボスが招待客のリストからもれていたのです。カラボスはめでたい祝いの場に乱入し、この無礼の仕返しをしてやる、とオーロラ姫に呪いをかけました。美しく成長した姫は糸紡ぎの針に指を刺されて死ぬというのです。贈り物をしていなかったリラの精がカラボスの呪いを薄め、姫は100年の眠りについた後、王子の訪れによって目を覚ますと救いの手を差し伸べました。

16才の誕生日を迎えたオーロラには求婚者も現れ、城はめでたい雰囲気に包まれました。そこへ老婆に変装したカラボスが現れて姫に花束を渡しましたが、その中に針が隠されており、オーロラ姫は指を刺されて倒れてしまいました。嘆き悲しむ王や王妃の前にリラの精が現れ、王や王妃を始め、人間から動物、調度品に至るまですべてをオーロラ姫とともに眠らせてしまいました。そして城はツタやいばらに覆われ、誰にも邪魔されることなく100年の眠りにつきます。

 

100年の時が過ぎ、狩に来ていたデジレ王子はなかなかよい伴侶に恵まれないことに頭を悩ませていました。そこへ王子の名付け親でもあるリラの精が現れてオーロラ姫の幻影を見せると、デジレ王子はすっかり姫の虜となってしまいました。リラの精がデジレ王子を眠れる城へと連れて行くと、城を覆っていたツタやいばらはデジレ王子のために道を開けました。そしてカラボスとその一味を追い払ったデジレ王子は、眠っている姫を探しだし、100年の眠りを覚ます口づけをしました。すると、オーロラ姫とともに城中のすべてが目を覚ましました。そしてみんなに祝福されてオーロラ姫とデジレ王子は結婚の約束を交わしたのでした。

 結婚式は盛大に行われ、妖精や童話の主人公たちも駆けつけ、楽しいダンスを披露してくれました。オーロラ姫とデジレ王子も華やかで気品あるダンスを踊りました。そして二人は自分たちを結びつけてくれたリラの精から祝福を与えられたのでした。

 


白鳥の湖

 

舞台はある王国の城の庭園。成人を控えた王子ジークフリートの前祝いが行われている。そこへ王妃が姿を見せ、翌日の舞踏会に招いた娘たちの中から花嫁を選ぶようにと命じます。夕暮れが迫り、大空を渡る白鳥の群れを目にした王子は心惹かれ、白鳥狩りに出発します。

荒涼とした光景の中、月に照らされた湖が広がっている中オデットと出会います。自分は悪魔に魔法をかけられ、昼間は白鳥の姿にさせられたと王子に打ち明けます。人間に戻れるのは夜の間だけ。魔法を解くには永遠の愛が必要だと言う。王子は愛を誓います。二人は心を許し合うが、やがて夜明けが訪れオデットは王子に別れを告げ、白鳥となって飛び立ってゆく。

 

お城の大広間では花嫁候補が次々と登場するが、王子のオデットへの思いは募るばかり。そこへ変装した悪魔ロッドバルトが娘オディールを連れて現れます。王子はオディールをオデットだと信じ込み、永遠の愛を誓ってしまう。その途端、悪魔たちは本性を現し高笑いしながら去る。愕然とした王子はオデットを探して城を飛び出し、湖に向かいます。

 

絶望のあまり、人間の姿のまま命を絶とうとするオデットを、同じように白鳥にされた娘たちが必死に押しとどめる。王子が駆け付け、オデットへの変わらぬ愛を訴える。オデットは湖に身をおどらせ、王子も後を追う。死をも恐れぬ二人の愛の前に、悪魔は滅び去ります

 


くるみ割り人形

 

クリスマス・イブの夜、少女クララの家の大広間では、盛大なクリスマスパーティーが行われています。

広間には大きなクリスマスツリーがあり子ども達や客人が楽しく遊んだり踊ったりしています。そこにドロッセルマイヤーが現れます。彼はクララの風変わりな叔父さんで、おもちゃのプレゼントをあげたり、手品を披露したりして子供達を夢中にさせました。

クララももちろんドロッセルマイヤーからプレゼントをもらいますが、彼女へのプレゼントは、可愛らしくないくるみ割り人形。でも、心優しいクララは、彼女の弟やその友達が、どんなに彼女をからかっても、そのくるみ割り人形を大切に扱うのです。

 

パーティも終わり、みんなが寝静まった深夜、時計の鐘の音とともに、クララの体は人形くらいに小さくなってしまいます。そしてそこに、ねずみの王様とその手下たちがやってきて、くるみ割り人形と仲間の兵隊人形たちと戦いはじめます。クララが見守っていると、くるみ割り人形がねずみの王様に負けてしまいそうになります。そこでクララは、自分が履いていたスリッパをねずみの王様に投げつけ、くるみ割り人形を救いました。クララにお礼を言うくるみ割り人形は、いつの間にか美しい王子へと姿を変えています。美しい王子となったくるみ割り人形は、優しく勇敢なクララをお菓子の国に案内します。

 

お菓子の国に向かう途中クララと王子は、雪の国を通ります。雪の国では、雪の女王や雪の精たちが、舞い踊りながら彼らを見送りました。帰ってきた王子と王子の客人であるクララを金平糖の精や、チョコレートの精、コーヒーの精、お茶の精などが歓待します。華やかなお菓子の国での時間を楽しんだクララは、家族が寝ている間に、くるみ割り人形であった王子に送られて、家に帰ってきました。クララは、自分の冒険が夢ではないことを確信しながら、眠りにつきます。

 


ラ・バヤデール

 

ニキヤはインドの寺院に仕える美しいバヤデール(舞姫)。ニキヤにはソロルという恋人がおり、二人は寺院の聖なる火に永遠の愛を誓ったが、勇士としての誉れ高いソロルはラジャに娘のガムザッティーと結婚するように命じられました。最初は断ろうとしたソロルだったが、美しいガムザッティーに心を動かされ、ついにはラジャの命令に屈服してしまった。

 

 ニキヤに横恋慕する大僧正は、邪魔者ソロルを抹殺せんとして、ソロルがニキヤと恋仲である事をラジャに告げ口したが、大僧正の思惑とは裏腹にラジャはニキヤを邪魔者とし、抹殺する事を決意した。

 一方、一目でソロルに恋したガムザッティーは大僧正とラジャの話しを立ち聞きし、ニキヤを呼び出して、ソロルは私と結婚するのだから身をひいてくれと迫った。しかしニキヤは一歩も譲ろうとはせず、ついには強引に迫るガムザッティーに刃を向け、拒絶した。ガムザッティーは怒りに燃え、「ニキヤは死ぬわ」と言い捨てた。

 そしてソロルとガムザッティーの婚約式の日がやって来た。ニキヤは舞を舞うように命じられるが、その際に渡された花かごに毒蛇が仕込まれており、かまれたニキヤは息絶えた。

 

 ソロルは自責の念に苛まれ、阿片に溺れた。そして阿片の幻覚の中でニキヤの亡霊を見、影の王国に連れていかれ、再びニキヤと愛を確認するのだった。

 

 しかし現実の世界に戻ったソロルにはガムザッティーとの結婚式が待っていた。抜け殻のようになったソロルは式に臨むが、その時聖なる火への誓いを破った事に怒った神が寺院を崩壊させてしまい、そこにいた者はすべて瓦礫の下に埋め尽くされてしまった。そこへニキヤの亡霊が現れてソロルの魂を救い、天国へと導いていくのだった。


ドン・キホーテ

 

ラ・マンチャの郷士アロンソ・キハーノは騎士道物語を読みふけった末に頭がおかしくなり、自らを遍歴の騎士ドン・キホーテだと思い込むようになった。そしてドルシネア姫という空想上の思い姫の面影を胸にいだき、サンチョ・パンサという農民を従士として、悪を懲らし困っている者を助ける旅に出た。

 バルセロナの町に着いたドン・キホーテは、宿屋の美しい娘キトリに出会った。そのキトリにはバジルという貧しい床屋の恋人がいたが、父親のロレンソはキトリを金持ちの貴族ガマーシュと結婚させようとしていた。キトリはバジルとの結婚を許してくれるようにと何度も父親に頼んだが、ロレンソは許そうとはしない。駆け落ちしかないと思い、キトリとバジルは手に手をとって逃げ出した。

 ロレンソとガマーシュはすぐに二人の後を追いかけた。キトリをドルシネア姫だと思いこんだドン・キホーテもサンチョと共に二人の後を追って行った。

 ドン・キホーテはジプシーの野営地でキトリとバジルに追いついたが、そこにあった風車を悪しき巨人だと思い込み、風車に向かって突進した挙句にはねとばされてしまう。そして気絶したドン・キホーテは、キューピッドに導かれ、愛しのドルシネア姫と森の妖精たちが舞い踊る、美しい夢を見る。

 一方、追手の気配を察したキトリとバジルは馴染みの居酒屋に逃げ込んだが、ついにロレンソとガマーシュに見つかってしまう。そこでバジルは一芝居打つ事にした。キトリとの結婚を許してもらえない事に絶望して自殺するふりをしたのだ。それを察したキトリは死んでるふりのバジルに調子を会わせ、せめて冥土の土産に結婚の許可を与えてやって欲しい、とロレンソに懇願した。

 それでもロレンソはうん、とは言わなかったが、ドン・キホーテに説教され、ついには脅されて、しぶしぶ二人の結婚を認めた。その途端にバジルは元気よく起き上がり、キトリと手をとりあった。ロレンソはあわてたが、後の祭り。こうしてキトリの結婚騒動はめでたく幕を閉じた。

 

 そしてキトリとバジルの結婚式がにぎやかに行われた。それを見届けたドン・キホーテは、ドルシネア姫の幻影に導かれ、サンチョと共に新たな冒険へと旅立ちます。


ロミオとジュリエット

 

ヴェロナの街にキャピュレット家とモンタギュー家という二つの旧家があり、両家は代々お互いを仇だと思っていがみあっていた。キャピュレット家にはジュリエットという一人娘がおり、モンタギュー家にはロミオという一人息子がいたが、二人は舞踏会で出会い、恋にに落ちる。お互いが仇の家の出身だとわかっても二人の想いは変わらず、両家の仲直りを願うロレンス上人に秘密の結婚式を挙げてもらい、夫婦となる。

 しかしジュリエットの従兄弟ティボルトにケンカをふっかけられたロミオは自分の代わりにケンカを買った親友マキューシオを殺され、、理性を失ってティボルトを殺してしまった。そしてロミオはヴェロナから追放となった。

 ジュリエットはロミオの追放に心乱れて嘆き暮らした。そのジュリエットを慰めようとキャピュレット夫妻はパリスという名門貴族とジュリエットの結婚を決めるが、ロミオと夫婦の誓いをたてたジュリエットはパリスとの結婚を断固として拒んだ。両親はジュリエットの頑なな態度に腹を立て、言う事をきかないのなら勘当だと言い放った。事情を話すこともできず、孤立して追い詰められたジュリエットはロレンス上人にすがりついた。

 ロレンス上人は、「仮死になる薬によって死んだと思わせて霊廟に葬られ、目覚めた時に迎えに来たロミオと二人でヴェロナから逃げる。」という計画を提案した。ジュリエットは恐怖心と戦いながらも仮死になる薬を飲み、死んだと思われて霊廟に葬られた。

 そこまではうまくいったのだが、ロレンス上人の計画はうまくロミオに伝わってはいなかった。ジュリエットが本当に死んでしまったと思い込んだロミオはキャピュレット家の霊廟のジュリエットの側で毒をあおり息絶えた。目覚めたジュリエットはロミオの亡骸を発見し、ロミオの短剣で胸を刺して後を追った。

 

 二人の死を悲しんだキャピュレットとモンタギューは自分たちの愚かさを知り、両家にようやく和解の道が開けたのだった。

 


ラ・フィーユ・マル・ガルデ

 

農家の未亡人であるシモーヌは一人娘のリーズを裕福な家に嫁がせたいと考えていましたが、リーズにはコーラスという貧しいが魅力あふれる恋人がいました。シモーヌはコーラスが娘に近づかないようにきちんと監視していましたが、しっかり者のわりには間抜けなところのあるシモーヌの目を盗んで、リーズとコーラスはちゃっかり愛を育んでいました。

 

そんなある日、金持ちのぶとう農園主トーマスがちょっと頭の足りない息子のアランを連れて現れ、リーズをアランの嫁に、と結婚を申し込みました。シモーヌは大いに乗り気になり、トーマスとシモーヌはアランとリーズを連れて収穫で賑わう麦畑へピクニックに出かけます。 

 納屋に隠れて話を聞いていたコーラスは、そうはさせるものか、と一行の後を追いました。トーマスとシモーヌはアランとリーズを二人きりにして仲良くさせようとしましたが、農夫たちを味方につけたコーラスはうまくアランをまいてしまいました。そしてコーラスとリーズは農夫たちと楽しくダンスを踊りながら、愛を確認しました。

 突然の雷雨で一同は解散、シモーヌとリーズも家へ戻りました。トーマスとの間で話がつき、今日にも法律的な結婚手続きを済ませようという事になったため、シモーヌは扉に鍵をかけてリーズを閉じ込め、しっかりと監視しようとしました。しかし朝からの騒ぎで疲れて居眠りばかりしている上に、所用で外出している間に収穫したばかりの麦の束に紛れてうまくコーラスが家の中に入り込んでしまいました。

 閉じ込められて不安だったリーズはコーラスが会いに来てくれたのをうれしく思いましたが、シモーヌが戻って来たので、あわててコーラスを2階の寝室に隠しました。娘の様子を怪しんだシモーヌは、コーラスが隠れているとも知らずに、リーズが逃げられないように2階の寝室に鍵をかけて閉じ込めてしまいました。

 そこへ公証人を連れたトーマスとアランがやってきます、トーマスとシモーヌが結婚の契約書類に署名し、アランとリーズの結婚が成立してしまいました。アランはシモーヌに鍵を渡されて2階に新妻リーズを迎えに行きましたが、扉を開けると、そこにはリーズとコーラスが仲良く抱き合っていました。

 リーズとコーラスはシモーヌに結婚の許しを願い出ました。公証人もアランとリーズの結婚は無効だと書類を破き、リーズとコーラスは愛し合っているではないか、とシモーヌを諭しました。ついにはシモーヌも折れて二人の結婚を認めました。怒ったトーマスはアランを連れて帰ってしまい、リーズとコーラスはシモーヌや農夫たちに祝福されてめでたく手を取り合いました。

 


ジゼル

 

ジゼルは踊ることが大好きな美しい村娘。ジゼルにはロイスという結婚の約束までしている恋人がいたが、実はロイスはジゼルの愛を得るために農民に変装した公爵アルブレヒトだった。楽しいはずの収穫祭の日にジゼルに横恋慕する森番ヒラリオンがロイスの身分を暴きたて、果ては美しく高貴な婚約者までいることがわかり、ショックを受けたジゼルは正気を失い死んでしまう。

 ジゼルの村には、踊りの好きな若い娘が結婚前に死ぬとウィリという精霊となり夜毎に墓場から抜け出して踊り狂い、通りかかった若い男を死ぬまで踊らせるという伝説があり、そして伝説通りジゼルもウィリになった。

 ジゼルの死に自責の念を感じるアルブレヒトは深夜にジゼルの墓を訪れ、そこでヒラリオンがウィリにつかまって殺されるのを目撃した。そしてアルブレヒト自身もウィリにつかまってしまった。精霊となってもなおアルブレヒトを愛するジゼルは、アルブレヒトを何とか助けようとした。

 しかしウィリとなったジゼルは冷酷な女王ミルタの命令で踊らされてしまい、ジゼルの踊りに魅惑されたアルブレヒトも一緒に踊り出してしまった。踊らざるを得ないウィリの性と愛するアルブレヒトを助けようとする気持ちの板ばさみとなって踊り続けるジゼルは、何度もミルタにアルブレヒトを許してくれるようにと情けを乞うた。しかしミルタは容赦なくジゼルに愛する男を死へと追いやる誘惑の舞踏を命じた。

 踊り続けたアルブレヒトは段々と弱って行き、ついに倒れてしまった。もう駄目だと思ったその時に夜明けを告げる鐘がなり、霊力を失ったウィリたちは墓場へと引き戻されて行った。

 アルブレヒトは助かった。しかしこの世ならぬ形で愛を確かめあったジゼルもまた墓場へ帰らなければならなかった。一人取り残されたアルブレヒトは深い愛と永遠にジゼルを失った喪失感に心が引き裂かれるのだった。

 


海賊

 

コンラッドは海賊の絶対的な首領。若い時に人生に絶望し、平然と悪事を重ねて来たコンラッドだが、そんな彼にも人間らしいところが残っており、美しい妻メドラを唯一の希望として深く愛していた。

 

そんなある日、トルコのパシャ(太守)、ザイードが海賊島を襲撃しようとしているという知らせが届く。コンラッドは迷わず先制攻撃を仕掛けようと、夜のうちに敵の軍隊が集結するコロンの入り江に向かう。

 

海賊たちは、勝利の前祝に浮かれるトルコ軍を急襲する。不意打ちをくらったザイードはじめトルコ軍は浮き足だって逃げ出した。コンラッドの命令で街には火が放たれるが、ハーレムから悲鳴が聞こえたため、コンラッドは危険も顧みず、女たちを救うために燃え盛るハーレムに飛び込んだ。そしてコンラッドはザイードの愛妾である美しき奴隷グルナーレをその腕に抱いて救出したのであった。

 

ザイードの寵を受けながらも奴隷として心の尊厳をふみにじられてきたグルナーレは、何の見返りも要求せず助け出してくれたコンラッドの高潔な姿に胸がときめくのをおさえる事ができなかった。

 しかし海賊が少数である事に気がついたトルコ軍が戻って来て、海賊たちは壊滅状態となります。負傷したコンラッドは囚われの身となり重い鉄の鎖で身体を縛り上げられ、高い塔に閉じ込められ死刑を待つ身となった。

 そこへグルナーレが現れ、お慕いするあなた様をお助けしたい、と申し出た。コンラッドは、自分には愛する妻がいるし、もう死ぬ覚悟はできている、とグルナーレの申し出を断るが、情熱に燃えるグルナーレの心は変わらなかった。そんなグルナーレは、生き地獄に現れた美しい幻、天使のように、コンラッドに思われる。

 

グルナーレはザイードにうまく取り入ってコンラッドの死刑を延期させようとするが、嫉妬深いザイードはグルナーレとコンラッドの仲を疑い、海賊の命どころかお前の命も容赦しないぞ、とグルナーレを恫喝した。その居丈高な態度にグルナーレの中で何かが切れてしまい、何としてもコンラッドを助け出し、彼と共に逃げようと決心した。たとえ主人であるザイードを殺す事になろうとも。 

 そして準備を整えたグルナーレは再度コンラッドの元に現れ、懐剣でザイドを殺すように、と促した。コンラッドは優しくかよわいはずのグルナーレの恐ろしい言葉に驚き、その申し出を拒否するが、それならば私が自分でやりましょう、と言ってグルナーレは消えた。コンラッドは驚いて後を追うが、ザイードの部屋から出て来たグルナーレの額には殺人の印である血痕が刻印されていた。

 そのままグルナーレに促され、コンラッドは船に乗ってコロンの街を離れたが、助かったにもかかわらず、心は重かった。心ひかれた美しい手弱女のイメージは今やグルナーレから失われた。たとえ自分を助けるためであったとしても、コンラッドにとって人を殺めた女はもはや女ではなかったのだ。コンラッドはグルナーレに最初で最後の接吻を与えるのみだった。

 そしてコンラッドはメドラの待つ我が家へと戻ったが、そこで彼が見たのはメドラの屍であった。コンラッドが敵に生け捕りにされたと聞いたメドラは自ら命を絶ったのである。コンラッドの中で何かが崩れた。すべての希望を失った彼はひたすら泣き続けた。

 翌日、コンラッドの姿は島から消えていた。以来、その行方は誰も知らない。

 


エスメラルダ

 

物語の舞台は15世紀のパリ、ノートルダム大聖堂の前で女の赤ちゃんを抱いたジプシーの女性が倒れてしまいます。

近くを通りかかったジプシーたちはその女性が死んでいると思い込み、それを良いことに赤ちゃんを連れ去ってしまいます。

その後、意識を取り戻した女性は子供がいないことを知り悲しみ狂ってしまいます。

 

 

第一幕

それから16年が経ち、連れ去られた女の子はエスメラルダと名付けられ、美しく妖艶な踊り子に成長しました。

日没後のノートルダム寺院前の広場では盗賊達が騒ぎ、踊っています。

 

エスメラルダが大聖堂の広場に訪れた時、広場へ迷い込んだ詩人グリンゴールが盗賊達に処刑されそうになっているところでした。

彼に妻という存在がいれば助かると知った、心優しいエスメラルダは自ら妻になると名乗り出ます。無事に命を取り留めたグランゴールはその優しさに心惹かれていきます。

 

また、その一部始終を見ていた大聖堂の聖職者フロロはエスメラルダの美しさに一目惚れし、鐘つき男カジモドを使って誘拐しようと企みます。

しかし騒ぎを聞きつけた衛兵によってカジモドは捕らえられます。

カジモドは広場でさらし者されてしまいます。心の優しいエスメラルダは自分を誘拐しようとしたカジモドをかばいます。

彼女の優しさに触れたカジモドもまた、恋に落ちてしまいます。

 

しかし当のエスメラルダは、自分を助けてくれた衛兵フェビュスに惹かれていました。

それを良く思わない聖職者フロロは、様々な方法でエスメラルダに迫るも拒否され、さらに憎悪を募らせていきます。

 

 

第二幕

しかし、なんとエスメラルダが恋に落ちた衛兵フェビュスには婚約者がいたのです。

そのことを知ったエスメラルダは悲しみに暮れますが、フェビュスとその婚約者のパーティに踊り子として招かれてしまいます。

エスメラルダは、悲しみをこらえながらグランゴールと踊ります。

(ガラやコンクールなどで踊られるグラン・パ・ドドゥやヴァリエーションは物語には元々存在せず、バレエ作品として登場しました。ダイアナとアクティオンも同様。)

そんなエスメラルダに、やはり惹かれてしまうフェビュス。

パーティが終わった後、エスメラルダのもとを訪れ彼女への愛を伝えます。

しかし、そこに嫉妬心を抱いたフロロが現れ、フェビュスを刺してしまうのです。

逃げ出すフロロ、その場にいたエスメラルダが濡れ衣を着せられ捕らえられてしまいます。

 

 

第三幕

囚われの身となったエスメラルダ。彼女の元を訪れたフロロは自分の妻になれば助けてやろうと告げますが、エスメラルダは拒絶します。

一命を取り留めたフェビュスも、エスメラルダが企み自分を刺したのだと思い込み、彼女の元を離れていきます。そしてエスメラルダは処刑の日を迎えてしまいます。

その時、16年前から彼女を探し続けていた母親がついにエスメラルダの元にたどり着きます。

しかし彼女の置かれている状況を目の当たりにし、あまりの衝撃に命を落としてしまいます。

これまでの出来事、母親の死、辛いことばかり続いていたエスメラルダは心も身体も弱り切り、そのまま処刑されてしまいました。

その様子を大聖堂の塔の上から見ていたフロロを、怒りと悲しみに満ち溢れたカジモドが突き落とし、カジモドは姿を消してしまいました。

 

 


コッペリア

 

第一幕

ポーランドのとある村に、スワニルダという明るい女の子と、恋人のフランツが友人や村の人々と楽しく暮らしていました。

スワニルダの向かいの家にはコッペリウスという、陰気で気難しい変わり者の人形職人が住んでいました。

その家には、コッペリアという可愛い少女が住んでいて、ベランダで読書をしていました。スワニルダは、何度も呼び掛けるものの全く反応がありません。しかしフランツはそんなコッペリアが気になる様子です。

フランツの浮気心に気付いたスワニルダは嫉妬し、二人の間に少しの溝が出来てしまうのでした。

 

そんなある日の夜、コッペリウスは広場に出掛けた時に家の鍵を落としてしまいます。

たまたまその鍵を見つけたスワニルダとその友人たちは、コッペリウスの家に忍び込むことを決めるのでした。

 

 

 

第二幕

コッペリウスの部屋。暗い不気味な部屋と人形たちにおびえつつも、興味津々なスワニルダたちは物珍しそうに人形たちを眺めまわします。ついにコッペリアを見つけ、コッペリアはコッペリウスによってつくられた人形であることに気付くのです。

しかしコッペリウスに見つかってしまいます。友人たちは逃げ出したもののスワニルダはたった一人部屋に取り残されてしまいました。

そこへ、なんとフランツが二階のバルコニーからコッペリアに会いに来ます。フランツもコッペリウスに見つかります。

コッペリウスはカンカンに怒るが、ある名案を思い付きフランツを眠らせます。そして、コッペリアに命を吹き込むための生贄としてコッペリウスに捕らえられてしまうのでした。

全てを見ていたスワニルダは、コッペリウスの呪文によりコッペリアは踊り始める。しかし実は、コッペリアの真似をして逃げ切ろうとしたスワニルダでした。

 

スワニルダはコッペリウスに全てを明かし、目を覚ましたフランツと共にコッペリウスの部屋を去ります。

 

 

 

第三幕

晴れて結婚することになったスワニルダとフランツ。結婚式では様々な踊りが繰り広げられます。人形を壊されたコッペリウスも領主から埋め合わせのお金をもらって上機嫌となりました。

最後はスワニルダとフランツによる平和の踊りによってにぎやかに幕を閉じます。

 


パキータ

 

第1幕 第1場

舞台はスペイン。知事ドン・ロペスは、祖国を占領したフランス軍を激しく憎んでいた。

フランス軍の将校リュシアンは、訪れた渓谷で、美しいジプシーの娘パキータと出会う。

パキータは、ある肖像画の入ったメダイヨンを幼い頃から肌身離さず身につけていた。

互いに惹かれあうリシュアンとパキータ。

一緒にフランスへ来るよう誘ったリュシアンだったが、身分の差を気にするパキータは申し出を断ってしまう。

一方、パキータを愛しているジプシーの頭、イニゴは激しく嫉妬し、知事ドン・ロペスとともにリシュアン殺害をたくらむ。

 

第二幕 第一場

ジプシーの住居。イニゴがリュシアンを殺害する計画を立てている。

イニゴは、酒に毒を混ぜてリュシアンを眠らせ、殺害を図るつもりだった。

そのたくらみを立ち聞きしたパキータは、訪れたリシュアンを救うため、

イニゴの気をそらせ、グラスを入れ替えて毒入りの酒を飲ませる。

自分がもった毒で倒れこむイニゴ。

パキータはイニゴらの企みをリュシアンに伝え、二人は暖炉に隠れて難を逃れた。

 

第二場

フランス軍司令官の館。うまく逃げ出した二人は、将軍主催の舞踏会にたどり着く。

舞踏会の会場で、パキータとリュシアンは知事ドン・ロペスの策略を皆に告げ、陰謀を暴き、

ドン・ロペスは捕らえられる。

命の恩人であるパキータに求婚するリュシアン。

それでもパキータは身分違いを理由に、リュシアンの求婚を受けようとはしない。

そのとき、舞踏の間に掲げられている絵がパキータの目に留まる。

なぜなら、その絵は自分が幼い頃から身に付けていたロケットの中の肖像画とそっくりだったからだ。

実はパキータはフランス貴族の娘であることがわかり、身分の違いでためらう理由は無くなった。

二人は結ばれ、ハッピーエンドを迎える。


タリスマン

 

プロローグ

物語の主人公は女神のニリティ。父である神の命令により、修行の一環として一週間地上で生活することになりました。

この修行には「地上に住む人間と恋に落ちてはいけない、恋に落ちた場合は天界に戻れなくなる」という約束事があり、

そのことをニリティに伝えるとともに、母のアマルヴァディは「タリスマン(お守り)」をニリティに持たせ、

お供に神ヴァイユを付けて地上に送り出しました。

 

 

第一幕

下界に降りたニリティ、そこは北インドの地域でした。

その地域の藩主ヌレディンは、王アクダルの娘ダマヤンティと婚約しているものの、結婚に気が進まない様子です。

気分転換のため旅に出たヌレディンは、途中で道に迷ってしまいます。そこで偶然ニリティに出会います。

その美しさにニリティは心を奪われ、思わず抱きしめようとします。

しかしお供で付いてきていた風の神ヴァイユが風を起こし、おかげで逃げることができました。

しかし、母からもらった大切なタリスマンを落とし落とし、ヌレディンに拾われてしまいます。

 

 

第二幕

王アクダルの宮殿。ヌレディンとダマヤンティの結婚の宴の準備がされています。

諸藩の王、地域の権力者、バヤデール達が揃い、踊りが披露されていきます。

その後、人々が晩餐の場へ移動するものの、ヌレディンは一人その場に残り、ニリティへ思いを馳せます。

そこへ、バラの精に姿を変えたニリティが目の前に現れ、落としたタリスマンを返してほしいとお願いします。

しかしヌレディンは、タリスマンを返してしまうと今後一切ニリティに会えなくなってしまうと考え、その頼みを断ります。

ニリティが気を落とし、その場を去るとヌレディンの元に王アクダルとダマヤンティがやってきます。

そして、皆の前で夫婦の契りを交わすよう伝えます。

 

しかし、ニリティに心を奪われているヌレディンは「他の女性を愛してしまったので、結婚できない」と告白し、

それを聞いた婚約者のダマヤンティはショックのあまり、気絶してしまいます。

アクダルは憤り、ヌレディンに対して剣を振りかざします。

双方の兵士達が加勢し、乱闘が大きくなってきたその時、突然火柱が上がり、争いどころではなくなりました。

「ヌレディンが殺されてしまうと、タリスマンを取り戻すことができない」と考えたヴァイユが、魔術を使い、地面から火柱を出し争いを止めたのです。

 

この一連の様子を見ていたニリティは、ヌレディンの熱い想いにだんだんと心を動かされていきます。

 

 

第三幕

王の宮殿からの帰路、ヌレディンは僧正と女奴隷に出会います。ヌレディンはその奴隷がニリティであることに気付きます。

ヌレディンはヴァイユ扮する僧正を酒に酔わせ、その間にニリティをさらってしまいます。

 

連れ去られたニリティは、そのような行動をとったヌレディンを非難するとともに、タリスマンを返すように再度お願いをします。

しかしヌレディンは頑として受け入れず、ニリティに地上に残って妻になってくれるように頼みます。

ニリティは自分の望みが受け入れられない悲しみから、短剣で自ら命を断とうとします。ヌレディンがそれを止め、間一髪で命は助かるものの、ニリティの態度に絶望します。

そして問題の種となったタリスマンを「こんなものがなかったら!」と地面に投げつけます。

 

タリスマンを取り戻したニリティは天界へ帰ろうとしますが、ヌレディンの目に浮かぶ涙に激しく心を揺さぶられます。

そして、ついにニリティは天界での生活ではなくヌレディンと一緒にいることを選びます。

持ち主を失ったタリスマンだけが天界へと帰っていきました。


・参照サイト:スタジオマーティ